テキスト生成や会話システムに利用されるAIの代表的なサービスとして、OpenAIとAnthropicが挙げられます。
両者はそれぞれ、独自のAIモデルを提供しており、これらのモデルはアプリケーションに組み込まれ、さまざまな用途に活用されています。
本記事では、特にテキスト生成に焦点を当て、OpenAIとAnthropicのサービス・モデルを比較し、それぞれの特徴や利点について詳しく見ていきます。
代表的なサービスとモデル
生成AIの代表的なサービスやモデルとしては、OpenAIとAnthropicの2社が提供するものが挙げられます。
OpenAIはGPTシリーズを中心に、APIやクラウドサービスを通じて強力なテキスト生成機能を提供しており、Azure OpenAI Serviceもその一環です。一方、AnthropicはClaudeシリーズを展開しており、特にAmazon Bedrock上で利用可能なClaudeモデルが高い評価を得ています。
両者のモデルはそれぞれの強みを活かして、さまざまな用途に対応しています。
OpenAI と Anthropic の違い
モデルの性能の違い
OpenAIとAnthropicのモデルを比較すると、基本的に上位モデルほど性能が高い傾向があります。
例えば、OpenAIのGPT-3.5-Turboに比べて、GPT-4oははるかに高性能です。一方で、GPT-4oとGPT-4o-miniでは、ミニ版のほうが後発モデルですが、どちらが優れているかは用途次第です。AnthropicのClaudeシリーズも同様で、最新モデルであるClaude 3.5 Sonnetは非常に高い性能を誇ります。
数値上のモデルの性能の差は、、Anthropicの公式サイトで公開されています。
モデルの料金の違い
料金に関しては、OpenAIとAnthropicの両社はどのサービスも同レベルのモデルを出しているので同等の水準にあります。しかし、OpenAIはBatch APIという機能を提供しており、これを使うことで処理を非同期に行う代わりに利用料金が50%オフになります。
また、OpenAI の GPT-4o mini に該当するモデルが、Claude ではまだ登場していないので、OpenAIがモデルリリースのスピードと料金面で一歩リードしている印象です。
サービスごとの強み
OpenAI / GPT の強み
OpenAIの大きな利点の一つは、Assistants APIの存在です。このAPIを利用することで、単発の会話だけでなく、複数の会話をスレッドとして管理し、ステートフルなやり取りを実現できます。
これにより、アプリケーションにChatGPTのような会話機能を簡単に組み込むことができ、開発者にとって非常に便利です。以前はLangChainなどを用いてこのような機能を自前で構築する必要がありましたが、OpenAIのAssistants APIによってその手間が大幅に削減されました。
Anthropic / Claude の強み
AnthropicのClaudeシリーズの特長は、日本語の自然なテキスト生成能力です。他の生成AIと比較しても、Claudeの出力する日本語は非常に自然で、単語の選び方や文の構造が優れているため、違和感がありません。
特に、日本語の特有の言い回しや、言葉の裏にある意図まで精度高く表現できる点が優れており、アプリケーション内でユーザーに提供する際のUXを大きく向上させます。
オリジナル版とクラウドサービス版の違い
OpenAIやAnthropicのAPIには、オリジナル版とクラウドサービス版があります。オリジナル版は、直接APIにアクセスして利用できるのに対し、クラウドサービス版はAzureやAmazon Bedrockなどのプラットフォーム上で利用されます。
オリジナル版のメリット
オリジナル版の利点は、すぐに利用を開始できる手軽さにあります。アカウントを作成し、APIキーを発行すれば、すぐにAIモデルを利用できます。また、最新モデルやベータ版などの実験的な機能にも早期にアクセスできるため、開発スピードが非常に速い点も特徴です。
オリジナル版のデメリット
一方で、オリジナル版はSLA(サービス稼働率の保証)がありません。したがって、商用サービスに組み込む場合には、安定性に不安が残ります。また、個人情報や機密情報の扱いに関しても、セキュリティ上の懸念があります。
クラウドサービス版のメリット
クラウドサービス版は、99.9%を超える稼働率を保証しており、安心して利用できることが大きなメリットです。また、VPC(仮想プライベートクラウド)内で利用できるため、データの外部流出を防ぐことができ、セキュリティ対策が施された環境でAIを運用できます。
クラウドサービス版のデメリット
一方で、クラウドサービス版は利用開始までの手続きが多く、ネットワーク構築などの準備が必要です。また、最新のモデルや機能の導入が遅れることもあり、実験的なアプローチにはあまり適していません。
まとめ
OpenAIとAnthropicは、共に優れた生成AIを提供しており、どちらを選ぶかは用途や必要とする機能によって異なります。OpenAIは開発者向けのツールが充実しており、Anthropicは特に日本語の自然な生成に優れています。
また、クラウドサービス版とオリジナル版の違いを理解し、利用シーンに応じて選択することが重要です。それぞれの特長を活かし、最適なAIソリューションを導入することで、より良いアプリケーションの開発が可能となります。
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